大会長挨拶

2023年ICCP450/JSSX国際合同大会


大会長 吉成浩一
(静岡県立大学薬学部)


大会長 永野真吾
(鳥取大学大学院工学研究科)

謹啓 時下、益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。

この度、日本薬物動態学会第38回年会および第23回シトクロムP450国際会議の国際合同大会(2023年ICCP450/JSSX国際合同大会)を、2023年9月25日(月)から9月29日(金)までの5日間、静岡市にあります静岡県コンベンションアーツセンター(グランシップ)にて開催させていただくことになりました。

日本薬物動態学会年会については、1999年の浜松大会以来2回目の静岡県内での開催となります。また、2018年の金沢大会以来の国際会議との合同大会です。シトクロムP450国際会議については、1976年に第1回が開催され、その後2〜3年に一度世界各地で開催されていますが、本大会は1999年の仙台、2009年の名護、2015年の東京以来の4回目の日本開催となります。

2020年春頃からのCOVID-19の感染拡大に伴い、多くの学会が対面からオンラインに変更となりました。移動をせずに海外をはじめとする遠方の学会に参加できることから、オンライン学会のメリットは大きいことは事実です。一方、2022年秋ころから多くの学会で対面学会が再開され、日本薬物動態学会の第37年会も横浜にて完全対面で開催されました。多くの方が対面学会の良さを再実感されていることと思いますが、海外での国際学会への参加はまだハードルが高いのが現状ではないでしょうか。そのような中、日本薬物動態学会の年会を、シトクロムP450国際会議との合同大会として開催できることになり、本大会は世界中の研究者と交流できる絶好の機会になると思います。

本合同大会のテーマは「ライフサイエンスと創薬における新たな知と技の発見 〜過去に学び、未来を知る〜」としました。薬物動態の中心であるシトクロムP450の基礎研究から始まり、薬物動態研究は、関連分野の様々な新しい知識、技術を取り入れて発展し、創薬研究をはじめとするライフサイエンスに大きく貢献してきました。また、シトクロムP450は様々な動物、植物、昆虫や微生物における生命現象や物質生産に中心的な役割を果たす酵素であるとともに、生物工学的な観点からも注目されている酵素であり、非常に多くの基礎・応用研究が行われています。応用研究者と基礎研究者が一堂に会する本合同大会において、ご自身の研究分野とは少し異なる領域の研究発表をぜひご聴講いただき、基礎研究と応用研究の両輪の重要性を再認識するとともに、今後の研究のヒントをつかんでいただけますと幸いです。

2022年はシトクロムP450研究において1つの節目となる年となりました。シトクロムP450の発見者のお一人である大村恒雄先生が同年1月にご逝去されたためです。大村先生は静岡のご出身で、静岡大学理学部(静岡市)の助手として研究者としてのキャリアを始められました。そこで本大会では大村先生のお名前を冠したセッションを企画しています。ご参加の皆様にはシトクロムP450研究の過去、現在、未来を学んでいただけるのではないかと思います。

最後になりましたが、静岡県は日本一高い富士山と日本一深い駿河湾などの豊かな風土に恵まれ、農林水産物の宝庫です。対面学会での開催となりますので、学術だけでなく静岡の食や観光もぜひお楽しみください。皆様に静岡の地でお会いできることを楽しみにしております。

謹白